「あるといいな」と言う人が、必ずしも「ぜひ欲しい」になるとは限らない話

新しいアイデア、新商品、高機能、低価格、顧客価値ビジネスセンス

今までに企業内の研修として新しい事業や商品・サービスを考えるグループ討議に数多く立ち会ってきましたが、その様子を見ていると、最初は誰かの「こんなのがあるといいな」から始まり、周囲の人もその案に対し「それいいね」と賛同することがよくありました。

ところが、周囲の人に「いくらなら買いますか?」と尋ねると、たいていは「お金を払ってまで欲しいとは思わない」という話になります。

具体例で説明すると、スーパーマーケットの買い物中に自動で追従するショッピングカートを開発する案を考えたとします。多くの人は「それいいね」「そういうのがあればいいね」とは言うのですが、「ショッピングカートの使用1回あたりいくらなら払いますか?」とさらに尋ねると、たいていは「お金を払ってまで使いたいとは思わない」になるということです。

一般的に「あるといいな」や「それいいね」までは簡単にアイデア出しができるのに対し、お客さまに「ぜひ欲しい」と言わせ買ってもらえるまでにはなかなか至りません。両者の間に大きな壁があり多くの人がこの壁を乗り越えるのに苦労しているのが実際のところだと思います。

誰からも「ぜひ欲しい」と言われるような事業や商品・サービスを考えたいものです。

そうは言っても、「ぜひ欲しい」とまで言わせるものは簡単に思いつくもではありません。「あるといいな」と「ぜひ欲しい」の壁を乗り越えるポイントはどこにあるのでしょうか?

例えば、AV機器のリモコンが高機能になり、ボタンの数が30個から100個ぐらいになればぜひ欲しくなるものかというとそうではないと思います。また、低価格であってもスーパーのビニール袋の有料化が気になる人にとっては、前述の自動追従型カートの使用料が1回〇〇円となればお金を払ってまで使ってくれるかというとそうでもなさそうです。

「あるといいな」と「ぜひ欲しい」の壁を乗り越える、すなわち多くの人に「お金を払ってまでぜひ欲しい」と言わしめるためには、「お客さまにとってのうれしさ」である「顧客価値」について深く考えることが大切なのは間違いないと思います。