「ドリルと穴」その1

ドリルと穴、レビット、マーケティングの近視眼ビジネスセンス

「ドリルと穴」という有名な話をご存知でしょうか?

新しい商品やビジネスを考える際に、お客さまへ提供する価値は何かを考えることが重要であるにもかかわらず、実現する方法(手段)にとらわれてしまいがちなことを指摘する話です。

みなさんの中にも日曜大工などで木や金属に穴をあける必要に迫られ、多種多様な商品を取り扱っているホームセンターへ出かけたことがある方もいると思います。

もし自分が工具メーカーに勤めている商品開発者であるとすると、そのような人向けに「もっと性能の良い、高機能で、多機能で魅力的なドリルを開発しよう」と会社内で提案し開発に取り組むことが予想されます。

ところがホームセンターを訪れる購入者(お客さま)にとっては穴をあけるという目的が(できれば安いコストで)達成できればその手段は何でもよく、ドリルはあくまでも穴あけ手段のひとつにすぎません。

ここを見落とすと工具メーカーは結果としてお客さまが欲しいと思わないドリル(売れないかもしれないドリル)の開発に労力を注ぐことになる恐れがある、という教訓めいた話です。

このドリルと穴の話は、セオドラ・レビット氏が50 年以上前に、著書「マーケティング発想法」の冒頭で述べたものです。

この記事では、「ドリルと穴」の話からお客さま視点から考えることの重要性について説明しています。商品の機能のみに着目してしまうのは多くの人が陥りやすいところですので注意したいものです。

なお、この「ドリルと穴」の話から目的思考で考えることの重要性についてを説明した記事『「ドリルと穴」その2』をこのブログに掲載しています。ご興味のある方はそちらもご一読ください。