マズローの欲求階層説と商品開発との関係は?

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マズローの欲求階層説をご存知でしょうか? これはアメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱したもので、人間の持つ内面的欲求は5段階の階層に分かれており、低次の欲求が満たされると順々により高次の欲求を求めるようになるという仮説です。

このマズローの話は、人間の本質的な欲求というものを簡単に説明するには大変わかりやすく納得性の高いものだと思います。

【第1階層】生理的欲求 (Physiological needs)

人はまず「生理的欲求」、つまり食べたいとか寝たいとかの欲求を満たしたくなります。

【第2階層】安全の欲求 (Safety needs)
第1階層が満たされると次に身の安全を守りたくなります。ジャングルなどを想定すると猛獣から逃れて身の安全を確保できる場所や方法を考えることになります。これが「安全の欲求」です。

【第3階層】所属と愛の欲求 (Love and belonging)
「生理的欲求」と「安全の欲求」が満たされると、人は「ひとりぼっちはいやだ」「社会とつながりたい」など、毎日食べるだけではなく友達が欲しくなったり社会に帰属したくなります。これが「所属と愛の欲求」です。

【第4階層】承認(尊敬)の欲求 (Esteem)
そして社会とのつながりが持てると、自分の存在を無視されたくない、社会から認められたいと思うようになります。つまり周囲から「~さんって凄いね」「それって素晴らしいね」「わかるよ。そうだね」と言われたくなります。これが「承認(尊敬)の欲求」です。

私が会社勤めをしていた頃の周囲のほとんどはこの第4階層にいる人たちでした。毎日食事をとり、寝泊まりする家があり、会社勤めを通じて社会とつながり、毎日周囲の人から何らかの評価をもらっています。

私を含めこのブログを読んでいるみなさんの中には、いわゆる「承認(尊敬)の欲求」が十分満たされずに第4階層内に留まっている方も多いのではないでしょうか。

【第5階層】自己実現の欲求 (Self-actualization)
マズローの学説では、第4階層の次は第5階層すなわち自己実現の世界となっています学説によっては、この自己実現の階層は別物として切り離して考えることもあるようです。

「自己実現」とは多くの人が経験していない境地なのではないかと思いますが、山頂を極めたい、絵や俳句を書き残したいなど、人にどう思われようが他人による評価を目的としない自己への挑戦のイメージがあります。

それではここで、マズローの欲求階層説と商品やサービスの開発との関係について少し考えてみましょう。

欲求階層説によると人間の欲求は各層のレベルが満たされるとさらに上にある次の欲求を満たそうとするので、それを実現できるなら手に入れたい、買いたいと思う人がいるということになります。

先進国と新興国とでは、食料事情、住宅状況、社会の成熟度、個人の所得レベルが異なるため手に入れたいものを一律に論じることはできませんが、「ワンランク上(ひとつ上の階層)の生活」や「自分がめざしているライフスタイル」を実現させてくれる商品やサービスであれば、少々高い価格でも買ってもらえる可能性が高くなることを意味しています。(安くしなければ売れないというだけの発想からは脱却したいものです)

マズローの欲求階層説などで人間の本質的な欲求を知り、そもそも人はなぜこれを欲しているのか、次に欲しくなるものは何だろうかなどを考えることは、新しい事業や商品づくりに役立つと思います。